第68章 誤り

青坂林は、感情が崩壊寸前だった。

彼はなおも佐久本令朝を問い詰めている。

「人の家庭に割り込むのは犯罪じゃない。そんな言葉で子供を刺激するのも犯罪じゃない」

「俺の父親を唆して、俺を捨てさせたのも犯罪じゃない」

「あんたたちはきっと、彼女は妊娠していて、自分の子供のために家庭を築きたかっただけだ、なんて言うんだろう。なんて無実なんだ、って。そうなんだろ?」

「そう思ってるんだろ? そうだろ!?」

青坂林は立ち上がり、感情を昂らせ、顔を真っ赤にした。「俺は彼女に言ったんだ。もう家に来るな、って。電話で頼んだ。メッセージでも頼んだんだ」

「なのに彼女は? 彼女は俺に、俺の父親と……父...

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