第69章 秘密を守る

静まり返った取調室。

女はだらしない姿勢で座り、口元には笑みさえ浮かべている。まるで取調室ではなく、親しい友人の家へアフタヌーンティーでも飲みに来たかのようだ。

彼女は、誰かが自分を観察していることに鋭く気づいた。

すっと目を上げ、菅原凱捷たちのいる方へ視線を向けると、妖艶な笑みを浮かべた。すぐに視線を戻したが、緊張の色は微塵も感じられない。

泰然自若。

周防墨はわけもなく顔を赤らめた。

菅原凱捷は彼をちらりと見た。「どうした? 一目惚れでもしたか?」

「変なこと言うなよ。あいつ、あいつ、ふしだらすぎるだろ!」

阿部書竹は美しい桃花眼を持っており、誰を見ても情が深そうに見える。...

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