第55章 必要

場内はたちまち騒然となり、皆の視線が彼女に集まった。

  高橋界人は訝しげに彼女を見つめた。「これを何に使うつもりなんだ?」

  鈴木直美は唇の端をかすかに上げた。「見た目が素敵だと思わない?」

  「思わないな」

  ごく普通のパイプに見えるだけで、何が素敵なのだろうか?

  鈴木直美は藤原晴子と藤原千子の二人の視線が自分に注がれているのを感じ、微笑みながら、目をそらすことなく堂々と視線を返した。

  二人は明らかに驚いた様子だった。彼女がその翡翠のパイプを知っていることに気づいたのだ。

  以前、藤原晴子は鈴木直美に一人で夜に御霊舎の掃除をさせた時、わざとパイプを金庫にしま...

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