第5章

「赤山? あの護衛がか?」

「中宮のお嬢様はご乱心か? 恵司様を差し置いて、あんなボディガードを選ぶなど……」

「土屋家の顔に泥を塗るにも程があるぞ!」

 どよめきが爆発したかのように広がり、会場の屋根をも吹き飛ばさんばかりの喧騒となる。

 私は会場を見渡した。驚愕、困惑、そして他人の不幸を蜜の味とする嘲笑の表情、表情、表情。

 この者たちには永遠に理解できないだろう。何が「真の忠誠」であるかを。

 呆気にとられていた恵司が、ようやく事態を飲み込んだようだ。その端正な顔が、今は見るに堪えないほど醜く歪んでいる。

 彼は大股で歩み寄ると、赤山の鼻先に指を突きつけて怒鳴った。

「...

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