第5章
秘書の報告に、将吾の顔からさっと血の気が引いた。会社を後にしてから、すでに一時間以上が経過していた。
あれほど高い階段から転げ落ちて、もし彼女の身に何か起きていたら……。
将吾は弾かれたように病院を飛び出した。
会社へ向けて車を走らせる間、紗枝に三度電話をかけたが、どれも応答はない。
エレベーターで最上階へ直行する。階段の踊り場は、まだ明かりが点いたままだった。
真っ先に将吾の視界を奪ったのは、血痕だった。
白いタイルに広がる、すでに乾ききった赤黒い血だまりが、おぞましいまでに自己主張している。
踊り場には、彼自身が叩き割った腕時計がそのまま残されていた。文字盤...
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