第7章

 私は将吾の会社で死ぬのだと思っていた。だが、薄れゆく意識のなか、誰かが私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「紗枝、しっかりしろ……」

 将吾の祖父の声だった。あんなに取り乱した声を聞いたのは初めてだ。

 救急車のサイレンが耳を劈き、私の意識は暗闇のなかを漂っていた。

「すべて私の責任だ」震える手で私の手を握りしめ、将吾の祖父は言った。「もっと早くあいつを止めるべきだったんだ……」

 おじいさんのせいではないと言いたかったが、喉からは掠れた息の音が漏れるだけだった。

「ご両親から君を託されたというのに」老人の声は咽び泣きに震えていた。「こんなにも辛い思いをさせてしまった」

 将吾の祖...

ログインして続きを読む