第7章

 アデレードがどこからともなく小刀を取り出し、私の顔の前でひらひらと弄ぶ。刃先が肌から数インチも離れていない。

「全部、お前のせいよ……」ぼそりと呟くその目は、空っぽで、狂っていた。

「あんたさえいなければ、私は今でも狼人帝国の女王だった! 全部あんたのせい!」

 刃先が、私の頬に触れる。

「殺してあげる。ゆっくり、一本ずつ。血を流して、叫んで、命乞いするのを見ながら」

 ――落ち着け。今できることは、時間を稼ぐことだけ。

「今ここで私を殺したら、あんたたちの計画は台無しよ。人間帝国と狼人帝国の戦争だって、すぐに始まる。龍の帝国は同盟国を総動員して狼人帝国を囲む。そうなったら、ア...

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