第114章 スキャンダル

数日続けて、市川希美は中野友香を庇うつもりで、なるべく表に立たせないようにしていた。厄介ごとは自分が抱え込めばいい――そう割り切って。

その日も、面接者たちをようやく見送り、事務所の空気が少し落ち着いたところだった。

廊下の奥。見覚えのある男が、当たり前みたいに立っている。

「村上真也? どうしてここに」

夏川翔太の友人、村上真也。前に一度助けられて以来、顔を合わせるのは久しぶりだ。

相変わらず、清潔感のある身なり。こちらに気づくと、口元に淡い笑みをのせた。

「配置が変わったって聞いてさ。ちょっと気になって、様子を見に来た」

言い終えたところで、彼は一拍置く。視線がわずかに伏せ...

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