第132章 三浦蒼汰

開演まであと一時間。

中野友香は控室で、床に落ちたドレスとスマホを見下ろしたまま、全身が凍りつくような恐怖に呑まれていた。

市川希美が――いない。

ほんの十分前まで一緒にいた。着替えるだけだったはずだ。それなのに、どうして人が消えるの?

指先がぶるぶる震え、発信ボタンを押す手元が狂って、スマホを落としそうになる。

コールがつながった瞬間、友香はほとんど泣き声で叫んだ。

「谷口拓、希美が……希美がいなくなった!」

その一言を絞り出した途端、もう堪えきれなかった。友香はスマホを抱えたまま床にへたり込み、声を上げて泣き崩れる。

谷口拓と西村智也が駆けつけたとき、そこにいたのは床に座...

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