第138章 後ろ盾

三浦爺さんはわざとらしいほどゆっくりした口調で、周囲の誰にでも聞こえるように言い放った。

伊藤沙梨は顔色を変え、反射的に弁解する。

「ち、違います、私……」

だが言い終える前に、三浦爺さんは市川希美を連れてくるりと踵を返し、そのまま立ち去った。これ以上、口を挟む価値もないと言わんばかりだ。

伊藤沙梨は説明のしようもなく、涙を溜めた目で夏川翔太を見上げる。

「翔太、違うの。三浦爺さんがどうしてあんなこと言うのか分からないけど、私、本当にわざと具合悪いふりなんてしてない……!」

見つめるほどに、涙がぽろぽろと落ちていく。

けれど今回は、夏川翔太も早川潤も、慰めの言葉を一つもくれなか...

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