第145章 無理やり助ける

夏川日向が誘拐された?

市川希美の胸がひくりと跳ね、警戒心が一気にせり上がる。

「誘拐されたなら探せばいいでしょ。なんで私に電話してくるの」

夏川翔太は数秒黙り込んだ。口にするのも癪だと言わんばかりに。

「犯人が、お前を名指ししてきた。お前が身代金を持って来い。さもないと――殺すって」

市川希美は眉を上げ、淡々と言った。

「へえ。じゃあ殺せば」

「市川希美! あれはお前の息子だろ!」

怒りを押し殺した声。向こうでガシャン、と何かが割れる音までした。

希美はスマホを握る指に力を込め、口元の笑みをさらに薄くする。氷みたいに冷たく言い返した。

「私たち、もう離婚したでしょ。夏川...

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