第166章 遺産?

警察署の中。中野友香は手足が氷みたいに冷え、心臓だけがやけにうるさく跳ねていた。

目の前の警察官を見つめる顔には、隠しようのない狼狽が張りついている。

「この車が希美のだってことは分かる。でも、どうして“乗ってたのが希美”だって言い切れるんですか? 間違いです、絶対に間違いです! 希美は生きてる、元気にしてるはずでしょう? 死ぬわけない……!」

涙が止まらない。腫れた目元は、もうくるみみたいに赤く膨らんでいた。

若い警察官は彼女の崩れ方に面食らったようで、気の毒そうにティッシュを差し出す。

「関係する映像はすでに確認しています。映像上では、市川さんがその車に乗り込み、高架道路へ入っ...

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