第21章 自分をそんなに大したものだと思うな

彼の口ぶりは、いつもどおりだ。まるで施しでもするみたいに。

けれど希美は腕の中の子どもをいっそう強く抱きしめ、冷えた目で彼を見た。

「夏川さんはお忙しいでしょうし、私なんか助けてもらえるなんて思ってません。だって、あなた自身が火の坑みたいな人だもの。二度も飛び込むほど、私だって馬鹿じゃない」

あまりに直球で、夏川翔太の顔色がさっと悪くなる。

彼はハンドルを握り込んだ。声は、歯の隙間から絞り出すように低い。

「……救いようがないな。どうやら、まだ懲りてないらしい」

そう吐き捨てると、彼は車を発進させた。

ブゥン――エンジンが唸る。警告みたいに、あるいは怒りそのものみたいに。

行...

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