第55章 お前こそ母親のいない子だ!

そのことに気づいた瞬間、希美は悲しめばいいのか、笑えばいいのか分からなくなった。

離婚協議書をテーブルの上に置く。――出て行け、という意思表示はこれ以上ないほど明白だ。

夏川翔太は微動だにしない。ただ、瞳の奥の苛立ちだけがじわじわ濃くなっていく。

「希美。離婚なんて無理だ。俺は同意しない。お前もさっさとその気を捨てろ」

一拍置いて、彼は続けた。

「戻ってくる気があるなら、俺たち三人で今まで通り暮らせる。欲しいものがあるなら、何でも言え」

「じゃあ、死んで。もう二度と私に絡まないで。それ、できる?」

希美は本気でうんざりしていた。

分からない。夏川翔太はいったいどこから、その自...

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