第75章 希美、謝罪!

「そう言いながら」早川潤は手を伸ばし、奪い取ろうとしてきた。

希美はさっとブローチをしまい込み、彼の手を空振りさせる。

眉をわずかに寄せ、少し離れた場所に立つ伊藤沙梨へ視線を投げると、わざと声を張り上げた。

「それ、あなたの名前が書いてあるわけでもないでしょ。店に並んでるってことは、買うための品よ。奪うって言うなら――奪ってるのは、あなたのほうじゃない?」

理屈をねじ曲げた言い分だったが、その大声は見事に周囲の耳を引き寄せた。

けれど早川潤は気づきもしない。顔いっぱいに凶相を貼りつけたままだ。

「買う? 貧乏人が何で買うんだよ。そのブローチ、3,000万だぞ。お前、3,000円だ...

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