第17章
病院の廊下は恐ろしいほど静まり返り、消毒液の匂いが鼻腔を満たしていた。私は救急処置室の外にある長椅子に座り、指の関節が白くなるほど両手を固く握りしめていた。
神代史人は一命を取り留めたが、昏睡状態に陥っていた。
ちょうど処置室から出てきた医師がマスクを外し、その表情に私の心は沈んだ。
「神代さんの容態は一旦安定しましたが、依然として昏睡状態にあります」
医師の声は穏やかで、それでいて事務的だった。
「しかし、一つ良い点があります。彼のバイタルサインは強い生存意欲を示しています。これは良い兆候です」
私は顔を上げ、胸の内に一筋の希望が湧き上がった。
史人が生きたいと願...
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