第104章

「なに……1億?!」

玄関先で物音を聞きつけ、今しがた入ってきた林原立川は、その場で凍りついた。顔に浮かんだ驚愕は、演技には見えない。

「あなた! 聞いたでしょう!? 早くお金を用意して!! 木之助を助けて……絶対に連れ戻して……!」

長野寒子はよろめきながら男にすがりつき、服の裾を力いっぱい掴んで懇願した。

「やっぱり木之助は自分からいなくなったんじゃないのよ! あの子、すごくいい子で、普段だって一秒でも私が見えないとダメなのに……私のそばから離れるなんて、できるわけない!」

林原立川は我に返ると、苦しげな声を絞り出した。

「でも……どこに1億なんてあるんだよ!?」

たしかに...

ログインして続きを読む