第115章

 陸田暁が息を整える間もなく、矢野智は工場の裏手へと歩き出した。

 小原雪美は唇をきゅっと結び、瞳の奥に濃い好奇心を宿して尋ねる。

「陸田警察官、裏で何があったんですか? まだほかにも誰かいるんですか?」

 その妙に愛想のいい、取り入るような態度を見ていると、陸田暁はなぜだか、いろんな顔が脳裏をよぎった。

(……女って、こんなに手のひら返すもんなのか? 用があるときは『陸田警察官』、なくなったら『あの事件解決した人』かよ)

 背筋を起こして濁った息を吐き、結局は答える。

「ほかの人……まあ、いるっちゃいる」

 言いながら表情がどこか歪み、次の瞬間には眉をきつく寄せて、矢野智のあ...

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