第116章

「彩未?」小原雪美は思わず呟いた。

とはいえ、筋は通っている。馬田秋美がすぐに戻れるはずもないし、あの子は自分で自分の面倒を見られる状態じゃない。警察としては、ひとまず安全に落ち着かせる場所を用意するしかないのだろう。

ちょうどそのとき、彩未が何かを察したように顔を横へ向けた。次の瞬間、ぱっと表情を明るくして、受付のほうへ駆けてくる。

「おばさん! おばさん!」

それにつられて、彩未の横についていた若い警察官の男女も慌てて追いかけてきた。小原雪美の顔を確認すると、二人はほっと息をつく。

「そうだ、隣の人でしたよね」

雪美は布袋からいちご味のミルクキャンディを一つ取り出し、包みを破...

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