第117章

 二人はビルの正面玄関前で、しばらく言葉もなく向かい合って立っていた。背後から陸田暁の注意を促す声が飛んできて、ようやく矢野智が口を開く。

「さっき俺がああ言っただけで、お前は彩未に結びつけた。ってことは……あの子、何か引っかかる点があるんだな?」

「いちばん大きいのは、何度も見せた情緒不安定さと攻撃性ですね」

 小原雪美はぱちりと瞬きをする。

 数分前の件も含めれば、あの少女はこれで二度、警察官に手を出そうとしたことになる。

 相手は技術員にせよ大村警察官にせよ、どちらも大人だ。大人に対してすら平気でそういう真似ができるなら、子どもを痛めつけることだって、別段おかしな話ではない。...

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