第131章

「ビデオ通話、できますか?」

 午後いっぱい映像を見続けたせいか、頭の中はすっぽり空っぽだった。考えが、ひとつも浮かばない。

 少しの沈黙のあと、向こうが了承する。

 通話を切ると、小原雪美は慣れた手つきでLINEの検索欄に男の電話番号を打ち込み、友だち追加を送った。

 ほどなく矢野智が承認し、間髪入れずにビデオ通話の招待が飛んできた。

 承諾を押す。画面は一瞬真っ黒になり、次いでカメラがガタガタと揺れた。ちらりと映った端正な横顔のあと、視界を埋めたのは冷たく湿ったコンクリートの床だった。

 やはり、馬岡学の水産店はやけにだだっ広い。両側にコンクリートで組まれた酸素供給用の水槽が...

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