第132章

矢野智は眉をわずかに吊り上げ、目の前の二人の表情をさりげなく観察した。そこから何か綻びでも拾えないか――そんな目つきだ。

「見物したいなら、守衛室に張り付いてる場合じゃないでしょう。あとで局長に話して、事務方で「余生のご活躍」でもしてもらいますか」

それを聞いた若山は、途端に顔色を変えた。

「このクソガキ! 俺に回ってくるのがどんな持ち場か、誰だって知ってるだろ。窓口に座らされて、理屈の通らねえ連中を一日中相手するか。パソコンの前で、見ただけで頭が痛くなる報告書とにらめっこするかだ!」

「行かねえ、行かねえ! こっちのほうが気楽でいいんだよ」

老人は露骨に嫌そうな顔で首をぶんぶん振...

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