第140章

静市市立病院。

 四人部屋の病室――なのに、なぜか窓際のベッドにだけ人が横たわっていた。

 深夜。月光が大きなガラス窓をすり抜け、眠る女の顔を淡く照らす。整った目鼻立ちだが、眉と眼差しにはどこか凛とした鋭さが宿っていた。

 長い臥床のせいだろう。肌は白く、血の気が薄い。口元には酸素マスク。指先と手首にはバイタルを拾うためのコードが挟まれている。

 同じ頃、枕元のモニターが規則正しく電子音を刻んでいた。

 ピッ、ピッ、ピッ――。

 数秒後、廊下を通りかかった看護師が二人、扉を押して入ってくる。

 一人は手慣れた動きでベッドの足元に差し込まれたカードを確認し、ワゴンから透明な輸液バ...

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