第145章

草岡嘉助の挑発に対して、矢野智はどこか面白がっているようにも見えたが、そこに時間を割くつもりはないらしい。

二人と軽く挨拶を交わし、互いの紹介を済ませると、矢野は一同を重案班のオフィスへ案内した。

そのとき、部屋の隅にある会議用テーブルには、すでに分厚い資料の束が積まれている。矢野は声を落として切り出した。

「勝村隊長から聞いた。静市で確保した容疑者は永井昌俊……だったな。ただ、取り調べの資料がまだこちらに届いていない。だから――」

本題に入った瞬間、草岡嘉助の表情が引き締まった。

「取り調べがまだ継続中でして。調書などの書面は、現時点ではまとまっていません」

「永井昌俊は静市の...

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