第160章

幸い、この気まずい空気も時間とともに少しずつ薄れていった。なにしろ目の前の三人は、かつて彼女と「同じ脳」を共有したことがある。わずかなよそよそしさなど、すぐに霧散した。

……とはいえ、個室は相変わらず静まり返っている。

聞こえるのは、天井の空調の吹き出し口が立てる「ゴォ……」という風の音と、円卓の真ん中でとっくに沸き立っている麻辣の赤い鍋が「ぐつぐつ」と泡を弾く音だけ。

みんな何かを警戒しているのだろう。加えて小原雪美の立場が立場だ。余計なことを口にしていい場ではない、と全員が分かっている。だからこそ、なおさら慎重になる。

このままでは埒が明かない。小原雪美は自分から箸を取り、みんな...

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