第164章

そのとき、病院に着いてからずっと落ち着かなかった小原雪美が、ぽつりと口を開いた。

「……たしかに。ちょっと、うまく行きすぎじゃない?」

静市とA市の警察が連携を取り始めてから、いまに至るまで。高橋小春を含む一味の人間が次々と確保されるまで、たった数日しか経っていない。

なかでも高橋小春の逮捕劇は、あまりにも早すぎた。

確かに、あの場の空気は「待っていた」としか思えなかった。だが、なぜだ。たかが大村方則ひとりのために?

あの女の冷酷さと狡猾さなら、大和久美子を先に警察の前へ差し出し、その隙に自分だけ逃げることだってできたはずだ。

高橋小春が逃げおおせたなら、大村方則ごときが太刀打ち...

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