第170章 番外2

あの日、病院で目を覚ました小原雪美のそばに、やはり矢野智の姿はなかった。どうしてだろう。自分の誇りでもある警戒心が、彼の腕の中にいるときだけは、まるで役に立たない。

ベッドサイドの棚に置かれた胃にやさしい粥だけが、彼がついさっきまでここにいた証拠だった。容器を触ると、まだほんのり温かい。

朝食の袋には淡い水色の付箋が貼られていて、そこに走る字が、やけに綺麗で、力強い。雪美は無意識に口元をゆるめていた。

朝食を済ませると、医師は念のためと全身の検査を一通り組み、異常なしと確認したうえで正式に退院を許可した。

A市局に戻って草岡嘉助と合流し、また丸一日ばたばたと動き回る。静市に関わる細部...

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