第19章

数分もしないうちに、管轄の交番から警官が真っ先に現場へ駆けつけた。

手際はいい。数人がクラブ内の現場保全に回り、残りは客たちの興奮をなだめながら、ひとまずの聞き取りを始める。

ほどなくして、今度は警察のワゴン車が二台、続けざまに到着した。周辺にはあっという間に規制線が張られ、空気がぴんと張り詰める。

小原雪美はフードを目深にかぶり、野次馬のいちばん外側に立ったまま、法医らしき人物と鑑識っぽい警官が相次いでクラブへ入っていくのを見届けた。

本当は、ひと目見たらさっさと消えるつもりだった。

ところが、そのとき――見覚えのある影がいくつも視界に滑り込んでくる。

矢野智は、どこにいても目...

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