第21章

個室を出た途端、小原雪美は膝の力が抜けそうになった。

矢野智が不機嫌な顔をしたときの圧――あれは本当に、人を黙らせる。

今の自分が本当に頭の中まっさらで、陸村東美という名前にもこれ以上の手がかりがなかったからこそ、あんな「我ながら何言ってんだ」みたいな返事を、反射で口にしてしまったのだ。

さっき、いい大人の男が二人そろって顔を曇らせた光景を思い出し、雪美は気まずさに頭を掻いた。

四年前の細部がまだ確定していないから、あの場で踏みとどまっただけだろう。状況が揃っていたら、何が何でも署に連れて行かれて、取調室でじっくり揉まれていたに違いない。

そう思うと、背筋がひやりとする。

雪美は...

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