第26章

そのとき、廊下に立っていた陸田暁も小原雪美の捨て台詞を耳にして、思わず舌打ちした。

「自分のケツも拭けてねえくせに、他人に噛みついてきやがって」

「俺たちのやり方に、あいつが口出しする筋合いがどこにある」

窓際に立つ矢野智は、陸田暁のどこか荒れた愚痴を黙って聞いていた。右手の指先が、磨かれた大理石の窓台を、コツ、コツと気のないリズムで叩く。何かを計算しているような沈黙。

「散歩だぁ? じゃあ俺が肩でも揉んでやろうか?!」

ひとしきり吐き出してから、陸田暁はようやく上司の異様な無言に気づき、そばへ寄った。

「矢野隊長。あの吉田なな、相当な曲者ですよ。今回は何があっても、簡単に署から...

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