第32章

時刻は午前四時過ぎ。

小原雪美は廊下に立ち、窓の外――遠くの川筋をぼんやり眺めながら、長い息を吐いた。白い吐息が、やけに名残惜しそうにガラスへまとわりつく。

まさかこの歳になって、第二警察署とこんなに深い縁ができるなんて。人生って、ほんとに意地が悪い。

出たり入ったり、もう何回目かも数えられない。こんな日々、いつ終わるんだろう。

今回、「星輝くクラブ」の臨検を担当したのは、矢野智のいる重案係じゃなかった。市局の別部署だ。だから外でうろついていても、見知った顔はひとつも見当たらない。

空がうっすら白みはじめた頃、警察はクラブ従業員への聞き取りを順番に始めた。

自分の番が来る前、隣に...

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