第33章

二秒ほど迷ってから、小原雪美はついに鍵を開けた。

年季の入ったボロい防犯扉が、静まり返った夜の闇に、ぞわりと背筋を撫でるような軋みを響かせる。

彼女はそのまま廊下に転がっていた捨て木の棒を手に取り、息を殺して中へ滑り込んだ。

カーテンは隙間なく閉め切られていて、室内は手を伸ばしても指先すら見えないほどの暗さだ。雪美は呼吸を止め、耳を澄ます。――左手のほうから、確かにかすかな物音。

パチッ。

玄関脇の壁に手を伸ばし、迷いなくスイッチを押し込む。次の瞬間、部屋がぱっと白く明るんだ。

「きゃっ!」

続いて上がったのは、怯えを含んだ短い悲鳴。

久美子がベッドの上で丸くなっていた。薄着...

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