第34章

「矢野警部補、わたしをここへ連れてきたのは、どういう意味ですか?」

 今の彼女は、ただの一般人だ。こんな場所に出入りして、取り調べの様子まで同時に見られるなんて――まずいんじゃないか。

 ところが矢野智は、すぐには答えなかった。言葉の代わりに表情で「落ち着け」と示し、続きを見ろと促す。

 ほどなく、向こうの取調室で陸田暁が机をバンッと叩いた。今にも舟をこぎそうだった鳥さんが、びくりと跳ねる。

「聞いてんだよ! お前、なんで陸村東美を殺した!」

 鳥さんは力なく首を振る。否定。そこから、また長い沈黙。

 眠りに落ちる寸前、今度は道野律哉が椅子をわざとガタンガタン鳴らして、畳みかけた...

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