第53章

 その場にいる誰も、異変には気づいていなかった。

 小原雪美は平然とした顔で二、三言、周囲の質問に受け答えをする。けれど頭の奥では、さっき届いたメッセージの内容が勝手に反芻されていた。

 警察は校外で、元ストリートダンス部部長の城村拓を確保した。ところが取り調べに対し、相手は口を閉ざしたまま――当時は「四人で遊びに行っただけだ」と言い張ったらしい。

 小崎桃の写真を撮った人物についても、「通りすがりの一般人だ」と一点張り。

 城村拓と面と向かっている矢野智はもちろん、スマホ越しに文面を読んだだけの小原雪美ですら、そんなのが嘘だとわかった。

 そこには、何かがある。絶対に。

 ひと...

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