第55章

「ダメだ……これ以上、引き延ばせない!」

 伊川東が警察と電話している隙に、「こいつの身体に爆弾があるかもしれない」と叫ぶべきか?

 ――いや、危険すぎる。下手に逆上させたら、その場で起爆されて終わりだ。

 小原雪美は唇をきゅっと結び、呼吸が重くなるのを抑え込む。全身の筋肉を張り詰めさせ、いつでも最大の一撃を叩き込めるように整える。

「お前ら、あと4分15秒だ」

 伊川東が、受話器の向こうで何かを言い続けている交渉担当に向かって、死のカウントを刻んだ。

 調子に乗っていたのか。学生たちへ真っすぐ向けられていた銃口が、ほんのわずか――半寸ほど、横へ逸れる。

 今だ。

 更衣室に...

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