第61章

「……あんたの事情なんて、私に関係あるの?」

音声の中で、周防真美子の声はいつもどおり冷静だった。

「てめえが……てめえが大ごとにしやがったせいで、俺はとっくに現場復帰できたはずなんだよ! なのに遺族が調子に乗って、ふっかけてきやがって……!」

馬田宗介は言うほどに苛立ちを募らせ、ついには罵声をまき散らす。

「この、調子に乗りやがって……クズが。こっちは丁寧に話してやってんのに聞く耳持たねえなら、いつか――殺……」

なぜか、その呪詛はそこでぷつりと途切れた。二秒ほどの不自然な沈黙ののち、通話は切断される。

小原雪美は首をかしげ、音声の終盤――馬田宗介が言いかけた部分を何度も繰り返...

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