第62章

矢野智が最後にどんな「知り合い」に会いに行ったのか――陸田暁には知る由もない。病室でご機嫌に荷物をまとめていた小原雪美に至っては、なおさらだった。

案の定、翌日の午前。これまで病室の外に張り付いていた警官がやって来て、「自由に動いていい」と告げた。

ただし携帯は常に繋がる状態にしておくこと。よほどの用がない限り市外へは出ないこと。捜査の過程で、いつでも協力を求める可能性がある――そう釘を刺される。

それらを小原雪美は、ひとつひとつ気持ちよく頷いて受け入れた。

検査結果が出ると、彼女は大荷物を提げてあっさり退院した。元の持ち主の車はまだ修理中で、足はタクシー頼み。市中心部にある紫マンシ...

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