第64章

「周防記者、あの日は現場にいなかったんですか?」

陸田暁はクチャクチャと口を動かしながら、「そりゃ惜しいな」とこぼした

 何が惜しいのかまでは言わず、彼はくるりと向きを変えて、また作業員たちへの聞き取りに戻っていった。

 まず彼は、当日に起きた三つの大きな出来事を順に言い直してみせる。人によって入ってくる情報も認識も違う。こうして網を広げておくほうが確実だ。

 案の定、二人は火事のほうに心当たりがあり、別の二人は爆発音のほうを覚えていた。班長格の男は、親戚の子がA市の大学に通っているらしく、ニュースで報じられた立てこもり事件を特に気にしていたという。

「なら話は早い。みんな、もう一...

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