第67章

初冬の明け方、午前四時過ぎのA市は、街じゅうが薄い霧に包まれていた。

この時間帯はまだ車も少ない。小原雪美は渋滞に捕まることもなく、あっという間に商業ビルの近くまで辿り着く。

そして案の定、建物の下にはパトカーと救急車。入口の外には、まばらに人影が立っていた。

ほどなくして雪美は、警備員の脇で言いつけどおりに立ち尽くし、ぶるぶる震えている幸村和也を見つけた。迷わず、まっすぐそちらへ歩く。

「真美子さん!」

少女は、やっと縋れるものを見つけたみたいに、周囲の視線も構わず両腕を広げて雪美の胸に飛び込んだ。

「ううう……全部、大村様のせいです! 私、家でぐっすり寝てたのに、真夜中に叩き...

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