第68章

病室にいた陸田暁は、村木郁美のその名指しを聞くと、わずかに顔をしかめて横を向き、矢野智の様子をうかがった。

班長の表情がすっと沈んだのを見て、陸田はすかさず口を挟む。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。聞かれたことに答えればいいだけなのに、どうして急に人を攻撃するんですか」

ベッドの女も引かなかった。

「何が間違ってるの。いきなり刺されたんだよ? 腹が立つのだって当たり前でしょ」

「犯人の顔を、はっきり見たんですか?」

矢野智が低い声で問う。腕を組んでベッド脇に立つだけで、圧がある。

村木郁美はその迫力に一瞬ひるみ、唾を飲み込んでから、意地で言い切った。

「見た。周防真美子よ...

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