第71章

小原雪美は観察室の窓辺に立ち、カーテンの隙間から、何台ものパトカーが夜通しで構内を出ていくのを見送っていた。

サイレンが甲高く夜空を切り裂き、胸の奥――心臓の芯まで、びりびりと震える。

不意に背後でコンコンとノックが鳴った。入ってきたのは、見覚えの薄い男の警察官だった。

「失礼します。周防記者……で間違いないですか。矢野隊長から伝言です。現在、警察はあなたを馬田宗介死亡事件の重要関係者とみています。差し支えなければ、署内に残って引き続き捜査にご協力ください」

「……わかりました」

小原雪美は、驚きもしなかった。

言ってしまえば、公安局で高橋仲弘の姿を目にした、その瞬間から。空気の...

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