第84章

小原雪美はゆっくりと目を細め、手の中の大ぶりな「ネジ」と、その尻から伸びている線を見つめた。

(ピンホールカメラ……?)

面白い。

そのとき、豪介がふいに洗面所の前へ現れ、床に置かれた鏡を見て目を丸くした。

「おいおい、家を解体でもする気か? 大家に見つかったら、何言われるか――」

続きの言葉は、彼女の手元を見た瞬間、ぷつりと途切れた。

小原雪美は「ネジ」から手を離し、ぶら下がったそれが左右に揺れるのを放っておくと、足早に牛岩真未の部屋へ戻った。

入口でざっと室内を見渡し、ベッドサイドテーブルの前へ。そこは、もともと付箋だらけだった壁の正面だ。

しゃがみ込み、古いスタンドライ...

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