第86章

「君が戻ってきて会社に提出した調査結果の報告書、写真も含めてちゃんと目を通した。内容自体は問題ない。ただ――君が自分用に残していたメモのほうが、よほど情報量が多いな」

小原雪美は牛肉を頬張りながら、鼻でふん、と二度鳴らして返事の代わりにした。

依頼人が欲しいのは結論だ。調査対象が一日に何回トイレへ行ったとか、煙草を何本吸ったとか、そんなものに興味を示す人間はいない。依頼の趣旨から外れそうな細部を、牛岩真未がわざわざ会社に提出しなかったとしても不思議ではなかった。

「君はY市に二度行っている。神藤正典と浦村佳穂――それぞれを調べるためだ。メモを見る限り、その二人は同じ場所に足を運んでいる...

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