第90章

前回、木南蒼の妻である羽田勧が赤田株式会社へ乗り込んできて、事情もろくに確かめずに書類をそこらじゅうへぶちまけたことがあった。

 その「戦場」を片づけていたとき、小原雪美が最初に拾った紙が、田浦建明の署名入りの調査依頼書だった。

 依頼書の内容ははっきり読めなかったものの、人探しの依頼だったことだけは覚えている。そして探していた相手の名前が、この契約書の借主の署名と一致していた。

 ――長野勝哉。

 その話を聞いた瞬間、矢野智たちは明らかに固まった。続いて陸田暁が、確信の持てない声で口を開く。

「まさか……田浦建明たちの犯罪のつながりに、赤田律人も噛んでるってことか? だとしたら、...

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