第10章 乗り込んで愚を売る

星野奈菜は頬を赤らめた。

――どうして今まで気づかなかったんだろう。こんなに、この男が格好いいなんて。

柔らかな陽射しが浅倉拓実の頭上に降り、数本の髪がちょうど眉骨の高い稜線にかかって影をつくる。

潮風みたいにさらりとした空気。穏やかで、謙虚で、それでいて眩しい。奈菜は思わず見惚れた。

(ヤバ……顔、強すぎ)

(花匠ってことは、月20万も出せば囲えるってこと?)

奈菜の視線が、一瞬で軽薄に変わる。

「アンタが星野彩実の兄さん? この前は私の前で若様ぶってたくせに。はい、現行犯。結局ただの花匠じゃん!」

「……あやちゃんの継妹か?」

拓実も同時に問い返した。

奈菜は彩実を...

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