第110章 彼が最も欲するものを奪う

青木陸斗は歯を食いしばり、青木優美を憎々しげに睨みつけた。けれど、言葉は一つも出てこない。

浅倉彩実が青木優美の腕にそっと絡み、にこりと笑う。陸斗には視線すらくれなかった。

「こんなの相手にして怒るだけ損だよ。年上の方に会わせてあげる。すっごくいい人で、きっと優美ちゃんも気に入る」

二人が休憩室の入口まで来たところで、花村秋人の母・花村裕子が、数人の奥様方と談笑しているのが見えた。

花村裕子は、品のいいシャンパンカラーのドレスを着こなし、所作の一つひとつまで優雅だ。

彩実が綺麗な娘を連れて近づいてきたのに気づくと、裕子はぱっと笑みを咲かせて迎えに出た。

それから親しげに彩実の手を取...

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