第百十二章 彼女はとてもきれい!

「ガタン――」

鈍い音と同時に、林田遥香は両脇の花台へ、文字どおり叩きつけられるように倒れ込んだ。

花台の縁石が膝に食い込み、脇腹は隣の鉢にぶつかって、息が詰まるほど痛い。思わず顔が歪み、涙が一気に目に溜まった。

彼女は花台にうつ伏せのまま顔を上げ、花村秋人を見上げる。瞳いっぱいの、これでもかというほどの委屈。

花村秋人は眉を寄せ、見下ろしたまま、温度のない声で言った。

「俺、触ってないけど」

小細工は一目で分かった。弱そうに見せて同情を引く手。見慣れすぎていて、ただ鬱陶しい。

「花村秋人……」

林田遥香は泣き声を混ぜ、何度も何度も彼の名を呼ぶ。細く柔らかい声で、涙を武器にしよ...

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