第百十三章 晩餐会が始まった

浅倉彩実は髪をきちんとまとめて上品なシニヨンにし、ほっそりとしたうなじと綺麗な鎖骨を惜しげもなく見せていた。化粧も薄く整えられていて、眉と目元からはいつもの派手さが引き、代わりに柔らかな雰囲気が滲んでいる。

なにより今の彩実は、花村裕子のすぐそばに身を寄せて、裕子の話に耳を傾けながら時おりこくりと頷いていた。口元に薄い笑みを浮かべ、健気なくらい「おとなしくて穏やかな子」を演じている。

その普段とのあまりのギャップが、花村秋人には妙に面白かった。

腕を組み、視線を外さずに彩実を見つめる。眼差しには、探るような色が混じっている。

息子のその視線に、裕子はとっくに気づいていた。こっそり肘で彩...

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