第百四十一章 貧しいグリフィン

「そういえば、どう? このお酒、美味しい?」

浅倉彩実が探るように言う。

「さっき、こっそり二口目いってたでしょ」

「華国にいた頃、浅倉拓実が言ってたの。あなた、普段はほとんど飲まないって。てっきり嫌いなのかと思ってた」

「付き合いの酒は、確かに好きじゃない」

花村秋人は視線をひと回しさせ、空になったボトルの列を確認した。

――このあと、彩実がどんな顔をするか。少しだけ楽しみで。

浅倉彩実はワインキャビネットの前に立ち、未開封の赤を一本手に取ってラベルを見た。

「1890年……期限切れ、100年以上!」

眉を寄せ、ボトルを掲げて秋人をにらむ。

「これ、あんまり飲ま...

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