第167章 有名人になる

輝先生は、荒れ果てたカテドラルをぐるりと見回した。壁にまとわりついていた黒い炎はとっくに鎮まり、空気には焦げた匂いと、呪術薬剤特有の鼻を刺す刺激が残っている。

平静を装うように一つ咳払いし、アキンの肩をぽんと叩いた。

「大丈夫大丈夫。家具と小道具がいくつかダメになっただけだろ。こんなの安いもんだ。あとで人に頼んで、新しいのを買い直せばいい。俺たちが回復したら――」

輝先生はそこで言葉を切った。さっきの浅倉彩実の、涼しい顔のまま圧をかけてくる佇まいが脳裏をよぎり、続きは喉の奥へ押し戻される。声色だけが、ふっと力を失った。

「……やめだ。回復しても、あいつに喧嘩を売るな」

「女ってのは...

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